むくみ(浮腫)とリンパ浮腫
- 2021/07/16
- リンパ浮腫
今回は、いわゆる”むくみ”とリンパ浮腫についてです。
皆さんの中にも長時間の立ち仕事やデスクワークなどで足がむくんだ経験があるかたも多いのではないでしょうか。
夕方になると足がむくんでつらいというお話をよく聞きます。
そもそも”むくみ”とは、皮膚や皮膚の下に水分が溜まった状態で多くは血液中の水分が血管外に漏れ出て過剰に溜まってしまった状態です。
人体では、心臓から動脈を通って体中に血液が送られて酸素や栄養を届け、排出された老廃物や二酸化炭素などが静脈やリンパ管を通って血液やリンパ液として回収されます。
この回収の過程で約90%は静脈、残りの約10%がリンパ管を通ると言われており、多くのむくみはこの静脈の流れが影響する事になります。
二足歩行の人間は、重力の影響を最も受ける脚で静脈のうっ滞が起こりむくみが生じやすくなってしまいました。
このむくみは、重力の影響、筋肉のポンプ作用の低下(ふくらはぎなどの筋肉が動くことで血液を送り返す作用があります)、塩分摂取過多などが原因となるものから心臓や腎臓などの内科疾患によって生じる事もあります。また、女性では男性よりも筋肉量が少なく、筋肉による血液を送り返す作用が弱いことや、ホルモンの影響などで過剰な水分が溜まりやすくなります。
一方で、回収される体液の10%であるリンパ液の流れが悪くなり、滞る事で起こるのがリンパ浮腫になります。
リンパの流れが悪くなる原因も様々あり、がんの治療におけるリンパ節の切除(リンパ節郭清)や、放射線治療により起こる事(二次性リンパ浮腫)が多いですが、もともとのリンパ管機能低下などがあり発症するもの(原発性リンパ浮腫)もあります。また、世界的にみると熱帯地域ではフィラリアという寄生虫の感染で起こるリンパ浮腫も多く発生しています。
がん治療では婦人科系(子宮体がん・子宮頸がん・卵巣がんなど)や泌尿器科系(膀胱がん・前立腺がんなど)がんによる脚のリンパ浮腫や乳がんによる腕のリンパ浮腫が起こります。
リンパ浮腫の症状としては、むくみによる周径の拡大(太くなる)、だるさなどから進行すると皮膚の硬化やリンパ漏(リンパ液が漏れ出る)、蜂窩織炎(皮下組織の感染)などが起こってくることがありますが発症時期や症状については個人差が大きいとされています。
また、脚や腕が太くなっていない状態でもリンパ管造影検査でリンパ機能が低下しているなどの所見があり、すでにリンパ浮腫が発症している事もあります。
リンパ浮腫は進行性のものであり、できる限り早期発見・早期治療につなげる事が重要です。
特にがん術後で、こわばりやだるさなどの違和感程度で比較的軽い症状がリンパ浮腫の初期症状であることも多いので、少しでも気になることがあれば専門機関を受診する事をお勧めします。
また、リンパ浮腫の診断がついた方も、少しでも進行を遅らせ、種々の症状増悪を防ぐためのケアや治療法をご提案する事ができます。
大阪梅田 形成外科・リンパ浮腫 LSクリニックでは一般形成外科・リンパ浮腫に対する保存治療から日帰りリンパ浮腫手術を行っております。
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